この記事は2026年3月16日にメールマガジンVol. 36として配信されたものです。
初回投稿日: 2026年5月18日
最終更新日: 2026年8月4日
近年、「脱炭素」「SDGs」「GX(グリーントランスフォーメーション)」といった言葉を目にする機会が増えました。企業活動においても、環境への配慮は企業価値を高める重要な取り組みの一つとなっています。
その中で注目されている素材がバイオマスプラスチックです。
食品包装やレジ袋などで採用が進んでいますが、実は毎日使う歯ブラシも、バイオマスプラスチックとの相性が非常に良い製品です。
今回は、バイオマスプラスチックを使用した歯ブラシの特長や、企業が導入するメリットについて解説します。
コンテンツ
バイオマスプラスチックとは?

再生可能な資源を活用したプラスチック
バイオマスプラスチックとは、植物などの再生可能な資源を原料の一部に使用したプラスチックです。
代表的な原料には、
- コーンスターチ
- サトウキビ
- 木材由来セルロース
- 麦わら
- 牡蠣殻などの天然由来素材
があります。
従来のプラスチックは石油を主原料としていますが、バイオマスプラスチックは石油由来原料の一部を植物由来原料へ置き換えることで、環境負荷の低減を目指しています。
詳しくは、過去の記事でも紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
関連記事
「Vol.27 バイオプラスチックとは?種類・特徴・課題を解説」
バイオマスプラスチックには、主に次のようなメリットがあります。
CO2排出量の削減
植物は成長過程で大気中のCO2を吸収します。
そのため、植物由来の原料を利用したプラスチックは、焼却時にCO2を排出しても、その一部は植物の成長過程で吸収された炭素であることから、カーボンニュートラルの考え方に基づいた素材として注目されています。
石油資源への依存を減らせる
石油は限りある資源ですが、植物は継続的に栽培できる再生可能資源です。
そのため、将来的な資源の安定確保という観点からも期待されています。
従来品に近い成形性
近年はコンパウンド技術の進歩により、
- 強度
- 耐熱性
- 成形性
が改善され、日用品への採用が広がっています。
用途によっては、従来の石油由来プラスチックと同じ設備や金型を活用できるケースもあります。
バイオプラスチックについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
バイオプラスチックとは?種類・特徴・メリット・課題を分かりやすく解説【2026年版】
なぜ歯ブラシに適しているのか?

交換サイクルが短い
歯ブラシは、多くの人が1〜2か月程度で交換しています。
毎日使う生活必需品でありながら、使用期間は比較的短く、年間では非常に多くの本数が消費されています。
家庭だけでなく、
- 学校
- オフィス
- スポーツジム
- 歯科医院
- 宿泊施設
など、さまざまな場所で使用されています。
つまり、一つひとつは小さな製品でも、社会全体では非常に大きな数量が流通している製品なのです。
宿泊施設では大量に使用される
ホテルや旅館、民泊などでは、歯ブラシは代表的なアメニティです。
一度使用されると、そのまま廃棄されるケースがほとんどであり、宿泊者数が多い施設ほど年間の使用本数は膨大になります。
近年では、環境への配慮を重視する宿泊施設が増えており、
- プラスチック使用量の削減
- SDGsへの取り組み
- ESGへの対応
の一環として、環境配慮型アメニティへの切り替えが進んでいます。
その中でも、バイオマスプラスチック製の歯ブラシは比較的導入しやすく、環境への取り組みを宿泊者へ分かりやすく伝えられる製品として注目されています。
GHGやLCAなどの用語については、ぜひこちらの記事もご覧ください。
GHG・LCA・Scopeとは?脱炭素で使われる環境用語を分かりやすく解説
歯ブラシメーカーにもメリットがある
バイオマスプラスチックのメリットは、利用者だけではありません。
歯ブラシメーカーにとっても、
- 環境配慮型商品のラインアップ拡充
- ブランド価値の向上
- ESG・GXへの対応
- 他社との差別化
につながります。
また、既存の成形設備を活用できる材料であれば、大きな設備投資を行わずに新しい製品開発へ取り組める可能性があります。
リサイクルだけでは解決できない理由
歯ブラシは分別・リサイクルが難しい製品
「環境に配慮するなら、リサイクルすればよいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、リサイクルは循環型社会を実現するうえで欠かせない取り組みです。しかし、歯ブラシはリサイクルしやすい製品とは言えません。
一般的な歯ブラシは、
- ハンドル:PP(ポリプロピレン)など
- 毛(フィラメント):ナイロン系樹脂
- グリップ:エラストマーなど
複数の素材を組み合わせて作られています。
これらが一体成形されているため、使用後に素材ごとへ分別することは非常に困難です。
さらに、メーカーごとに使用している樹脂が異なる場合もあり、自治体のリサイクル工程でも選別しにくいという課題があります。
バイオマス化という新しい選択肢
このように、歯ブラシは「リサイクルできない」のではなく、「リサイクルしにくい製品」です。
だからこそ、製品を設計する段階から環境負荷を低減するという考え方が重要になります。
バイオマスプラスチックは、製品を使用した後の処理方法を変えるものではありませんが、原料の一部を再生可能資源へ置き換えることで、ライフサイクル全体のCO2排出量削減に貢献できます。
リサイクルとバイオマスプラスチックは対立する考え方ではなく、それぞれの特長を活かして組み合わせることで、より環境負荷の少ない製品づくりが可能になります。
リサイクルプラスチックとバイオマスプラスチックの比較については、こちらの記事もご覧ください。
リサイクルプラスチックとバイオマスプラスチックの違いとは?メリット・デメリットを比較
宿泊施設・ブランド企業が導入するメリット

環境への取り組みを「見える化」できる
ホテルや旅館、民泊などでは、歯ブラシは宿泊者が必ず手に取るアメニティの一つです。
そのため、環境配慮型の歯ブラシへ切り替えることで、「環境への取り組み」を利用者へ分かりやすく伝えることができます。
例えば、
- SDGsへの取り組み
- GXへの対応
- ESG経営の推進
- プラスチック使用量削減
などを、具体的な形で発信できます。
小さなアメニティですが、お客様へ与える印象は決して小さくありません。
ブランド価値の向上につながる
近年は、製品そのものだけでなく、「どのような考え方で作られているか」を重視する消費者が増えています。
特に、
- 訪日外国人旅行者
- 若い世代
- 環境意識の高い消費者
では、その傾向が強くなっています。
環境配慮型アメニティの導入は、「環境に配慮する企業」というブランドイメージの形成にもつながります。
価格だけではない新たな付加価値を生み出せることも、大きなメリットの一つです。
また、日本有機資源協会によるバイオマスマークを掲示することで、消費者へのアピールにもつながります。
バイオマスマークについては、日本有機資源協会によるページをご覧ください。
VASUジャパンのバイオマスプラスチック

OEM開発から量産までサポート
VASUジャパンでは、バイオマスプラスチックのコンパウンド開発を通じて、さまざまな製品開発をサポートしています。
歯ブラシをはじめとした日用品向けにも、
- バイオマスPP
- バイオマスABS
- 天然素材配合コンパウンド
など、用途に応じた材料をご提案しています。
また、
- バイオマス度
- 強度
- 成形性
- 色調
など、お客様のご要望に合わせた調整にも対応しています。
コンパウンドのOEMについては、こちらのページもぜひご覧ください。
強度・流動性・外観まで設計するコンパウンドOEM
小ロット試作にも対応
新しい材料を採用する際は、
「まずは成形できるか確認したい」
というご相談が少なくありません。
VASUジャパンでは、25kgから試作用サンプルをご提供しています。
小ロットから評価を行い、その結果を踏まえて量産へ進められるため、新素材導入のハードルを下げることができます。
まとめ
バイオマスプラスチックを使用した歯ブラシは、環境への配慮だけでなく、企業のブランド価値向上にもつながる製品です。
特に、交換サイクルが短く、大量に使用される歯ブラシは、環境配慮型素材との相性が非常に良い日用品と言えます。
また、歯ブラシは複数の素材を組み合わせた製品であり、リサイクルが難しいという課題があります。
そのため、製品設計の段階から環境負荷を低減できるバイオマスプラスチックは、有効な選択肢の一つです。
今後、環境への取り組みは企業の競争力を左右する重要な要素となっていくでしょう。
その第一歩として、毎日使われる身近な製品から環境配慮を始めてみてはいかがでしょうか。
VASUジャパンでは、バイオマスプラスチックのコンパウンド開発から試作、量産までサポートしています。
25kgから試作用サンプルをご提供しておりますので、歯ブラシや日用品への導入をご検討中の企業様は、お気軽にお問い合わせください。