この記事は2026年1月15日にメールマガジンVol. 34として配信されたものです。
初回投稿日: 2026年4月16日
最終更新日: 2026年8月4日
みなさんこんにちは。
近年、「SDGs」「資源循環」「サーキュラーエコノミー」といった言葉を耳にする機会が増えました。その中で、企業に求められる考え方として注目されているのが**拡大生産者責任(EPR)**です。
これまで企業は「良い製品を作って販売すること」が主な役割でした。しかし現在は、製品が役目を終えた後の回収やリサイクル、適切な処分まで含めて責任を持つことが求められるようになっています。
今回は、拡大生産者責任(EPR)の基本的な考え方や、日本で導入されている制度について、できるだけ分かりやすく解説します。
コンテンツ
拡大生産者責任(EPR)とは?
拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)とは、製品の設計・製造・販売だけでなく、使用後の回収やリサイクル、廃棄まで、生産者が一定の責任を負うという考え方です。
これまでは、家庭から出るごみの処理は自治体が中心となって行い、その費用は税金によって賄われてきました。
しかし、製品の構造や使用されている素材を最も理解しているのは、その製品を設計・製造した企業です。そのため、「製品を作った企業も、使用後まで責任を持つべきではないか」という考え方が世界的に広まりました。
例えば、
- リサイクルしやすい素材を選ぶ
- 分解しやすい構造にする
- 有害物質の使用を減らす
- 再利用しやすい部品を採用する
といった取り組みも、EPRの考え方につながっています。
つまりEPRは、単にリサイクル費用を企業が負担する制度ではなく、製品を企画・設計する段階から環境負荷を減らそうという考え方なのです。

なぜEPRが必要なのか?
世界では人口の増加や経済成長に伴い、大量生産・大量消費・大量廃棄が続いてきました。
その結果、
- 廃棄物の増加
- 資源の枯渇
- 海洋プラスチック問題
- 温室効果ガスの増加
など、さまざまな環境問題が深刻化しています。
これまでのように「作って、使って、捨てる」という一方向の社会では、将来的に資源が不足し、廃棄物処理にも限界が訪れると考えられています。
そこで近年は、使用済み製品を再び資源として活用する**循環型社会(サーキュラーエコノミー)**への転換が進められています。
EPRは、その循環型社会を実現するための重要な仕組みの一つです。
企業が製品の使用後まで責任を持つことで、
- 廃棄物を減らす
- リサイクル率を向上させる
- 資源を有効活用する
- 環境負荷を低減する
ことが期待されています。
日本ではどのように導入されている?

日本では、「EPR法」という名前の法律があるわけではありません。
その代わりに、製品ごとにさまざまなリサイクル制度が整備されており、その中にEPRの考え方が取り入れられています。
代表的な制度を見てみましょう。
容器包装リサイクル法
私たちが日常生活で最も身近に感じる制度の一つが、容器包装リサイクル法です。
ペットボトルや食品トレー、紙パック、プラスチック製容器包装などは、この制度の対象となっています。
この制度では、それぞれに役割があります。
消費者
- 分別して排出する
自治体
- 分別回収を行う
事業者
- リサイクル費用を負担し、再商品化を進める
つまり、企業だけでなく、消費者と行政も協力することで資源循環を実現する仕組みになっています。
私たちが普段何気なく行っている「ごみの分別」も、この制度を支える重要な役割を担っています。
家電リサイクル法
もう一つ代表的なのが、家電リサイクル法です。
対象となるのは、
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
の4品目です。
使用済みの家電は回収された後、メーカーなどによって分解され、鉄・アルミ・銅・プラスチックなどが再資源化されています。
この制度では、生産者自身がリサイクルに関わるため、「分解しやすい設計」や「再利用しやすい部品」を取り入れる動機にもつながっています。
単に製品を販売するだけではなく、その後の資源循環まで考えるという点で、EPRを代表する制度の一つと言えるでしょう。
製造業に求められること

EPRの考え方が広がる中で、製造業には「環境に配慮した製品を作ること」がこれまで以上に求められています。
例えば、
- リサイクルしやすい素材を選ぶ
- 分解しやすい構造にする
- 再利用しやすい部品を採用する
- 必要以上の包装を減らす
といった取り組みです。
これらは環境への配慮だけでなく、将来的なリサイクルコストの削減や、企業ブランドの向上にもつながります。
また、EUをはじめとする海外では、環境規制が年々強化されています。今後は日本国内だけでなく、海外市場で製品を販売する企業にとっても、こうした考え方への対応が重要になるでしょう。
バイオプラスチックとEPRの関係
EPRでは、製品を使い終えた後まで考えて設計することが重要になります。
そのため近年では、環境配慮型材料としてバイオプラスチックへの関心も高まっています。
ただし、「バイオプラスチックを使えば、それだけで環境問題が解決する」というわけではありません。
例えば、
- リサイクルしやすいか
- 製品として十分な強度があるか
- 使用目的に適した材料であるか
- 既存の成形設備で製造できるか
など、さまざまな点を総合的に考える必要があります。
そのため、用途に合わせた材料設計やコンパウンド技術が重要になります。
VASUジャパンでは、お客様の用途や要求物性に合わせて、バイオマス度や強度、成形性などを考慮したOEMコンパウンドをご提案しています。
既存材料では実現が難しい仕様についても、可能な限りご要望に合わせた配合設計を行っています。
EPRはこれからさらに重要になる

近年は、ESG投資やGX(グリーントランスフォーメーション)の推進などを背景に、企業へ求められる環境対応は年々高度になっています。
特に欧州では、包装材や製品設計に関する規制が強化されており、日本企業にも少しずつ影響が広がっています。
環境への取り組みは、「義務だから行う」という時代から、「企業価値を高めるために取り組む」という時代へ変わりつつあります。
その中でEPRは、資源循環を実現するための基本的な考え方として、今後ますます重要になっていくでしょう。
まとめ
拡大生産者責任(EPR)は、製品を作って販売するだけでなく、使用後の回収やリサイクル、廃棄までを含めて、生産者が一定の責任を持つという考え方です。
日本では、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などを通じて、この考え方が社会に浸透しています。
また、今後は国内だけでなく海外でも環境規制が強化されることが予想され、製品設計の段階から資源循環を意識することが、企業競争力の向上にもつながります。
バイオプラスチックは、そのような環境配慮型製品を実現するための選択肢の一つです。ただし、重要なのは単に材料を置き換えることではなく、用途や求められる性能に応じて最適な材料を選定することです。
VASUジャパンでは、バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックのOEMコンパウンドを、小ロット25kgから試作用サンプルとしてご提供しています。
既存製品のバイオマス化や、環境配慮型製品の開発をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。