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Vol. 26 世界の家庭ゴミ事情

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ゴミ回収のイメージ

みなさんこんにちは。私たちは普段の生活で実に多くの家庭ゴミを排出しています。我が家では私が割と家事全般を担当していますが、ゴミ箱が週に何度満杯になり、ゴミ袋を取り替えているかと考えると、その量は実に多いと感じています。

一方で日本はリサイクルも含めて、ゴミ処理のスキームはかなり洗練されているとの印象を持っています。ということで今回は家庭ゴミに焦点を当て、国土の広い国の家庭ゴミの処理方法や、リサイクルの取り組みを掘り下げてみたいと思います。純粋に日本より国土が広い国の場合、どのようなスキームがあるのか興味深いです。

アメリカの家庭ゴミ事情

アメリカは世界でも特に多くのゴミを排出する国の一つです。1人当たりのゴミ排出量は世界トップクラスで、1日平均約2キログラムのゴミが発生しています。主なゴミの分類は以下の通りです。

  • 可燃ゴミ: 食品廃棄物、紙製品など
  • 不燃ゴミ: プラスチック、ガラス、金属類
  • リサイクルゴミ: 缶、紙、プラスチックボトル

ゴミの分類は日本と同じ感じですね。

アメリカのゴミ処理の現状

アメリカでは、自治体ごとにゴミの分別基準が異なります。一部の州ではリサイクルが積極的に進められており、例えばカリフォルニア州では約60%のリサイクル率を誇ります。しかし、全体として見るとリサイクル率は約32%に留まっています。

また、埋め立て地に依存している点も特徴的です。アメリカのゴミの約50%以上は埋め立て地に運ばれ、環境負荷が懸念されています。一方で、焼却施設はヨーロッパ諸国に比べ少なく、全体のゴミ処理の約12%程度しか占めていません。

日本でも自治体によってゴミの分別は異なりますが、カリフォルニア州のリサイクル率が60%というのはスゴイです。

ゴミのイメージ

中国の家庭ゴミ事情

中国は世界最大の人口を抱える国であり、そのためゴミ排出量も急増しています。都市部を中心にゴミ問題が深刻化しており、特に食品廃棄物の割合が高い点が特徴です。中国政府は近年、ゴミの分別を強化しています。2019年には上海で「ゴミ分類制度」が導入され、以下の4つに分けられています。

  1. 可燃ゴミ(湿ゴミ): 食品廃棄物、植物性廃棄物
  2. 不燃ゴミ(乾ゴミ): プラスチック、ガラス、金属類
  3. リサイクルゴミ: 紙、缶、ボトルなど
  4. 有害ゴミ: 電池、蛍光灯、薬品類

ゴミが乾燥しているか水分を持っているかで分別するのは、興味深いポイントです。

中国の家庭ゴミリサイクルと処理の現状

中国ではゴミ処理インフラが急速に整備されていますが、リサイクル率は未だ低い水準にあります。例えば、食品廃棄物が大量に発生しているにもかかわらず、これを堆肥化やバイオエネルギーに変える技術の普及が遅れています。

また、農村部では分別の習慣がまだ定着していないことも課題です。一方で、中国は廃棄物エネルギー化施設の建設を積極的に進めているため、焼却による発電が進展しています。特に都市部では焼却施設の稼働が増えており、埋め立ての割合は徐々に減少しています。

カナダの家庭ゴミ事情

カナダは広大な国土を持つ一方で人口密度が低く、ゴミ問題の規模感はアメリカや中国に比べると小さいと言えます。しかし、1人当たりのゴミ排出量ではアメリカに次ぐ水準であり、持続可能なゴミ処理が求められています。

また、国土が広く人口密度が少ないということは、国土が狭い日本と比べると、ゴミ回収の手間がかかると考えられます。

カナダのゴミ分類とリサイクル

カナダでは各自治体がゴミ収集と処理を管理しており、多くの地域で次のような分別が行われています。

  • 可燃ゴミ:食品廃棄物、木材、紙製品
  • 不燃ゴミ:プラスチック、金属、ガラス
  • コンポスト可能ゴミ:生ゴミ、庭の廃棄物
  • リサイクルゴミ:ボトル、缶、紙

カナダは特にコンポスト可能な廃棄物の処理に力を入れており、多くの家庭が庭で堆肥を作るシステムを持っています。リサイクル率は約27%とアメリカよりもやや低いものの、堆肥化を含めた資源回収率は約60%に達しています。

これは生分解性プラスチックの導入が進みつつある日本も、是非とも見習いたいところですね。

堆肥のイメージ

カナダの課題

カナダの課題は、広大な国土と自治体ごとの制度の違いです。例えば、都市部では分別が進んでいる一方で、遠隔地ではゴミ収集インフラが整っていない場合があります。また、プラスチック廃棄物の輸出問題も近年注目されており、輸出先での不適切な処理が環境問題を引き起こしています。

3カ国の比較

ゴミの分類

  • アメリカ: 自治体による基準の違いが大きい
  • 中国: 近年4分類を導入
  • カナダ: 自治体ごとに基準が異なる

リサイクル率

  • アメリカ: 約32%
  • 中国: 10〜20% (推定)
  • カナダ: 約27%

埋め立て依存度

  • アメリカ: 約50%以上
  • 中国: 都市部で減少
  • カナダ: 都市部は低いが遠隔地で依存

焼却設備

  • アメリカ: 少ない
  • 中国: 急増中
  • カナダ: 少ない

まとめ

アメリカ、中国、カナダの家庭ゴミ事情を比較すると、国ごとの特徴と課題が浮き彫りになります。アメリカは埋め立て依存の削減、中国は農村部での分別意識の向上、カナダは遠隔地でのインフラ整備が必要と考えられます。

私たち一人ひとりができることは限られていますが、小さな行動の積み重ねが大きな変化を生み出します。ゴミ問題は地球規模の課題ですので、日本に住む私たちもそれぞれの国の状況の良いところを参考にし、持続可能な未来に向けて考えるきっかけになれば幸いです。

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バイオマスプラスチックのイメージ
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