この記事は2025年5月15日にメールマガジンVol. 26として配信されたものです。
初回投稿日: 2025年8月18日
最終更新日: 2026年7月29日
私たちは毎日の生活の中で、多くの家庭ゴミを排出しています。
我が家では私が家事全般を担当していますが、週に何度もゴミ袋を交換していると、「家庭からこれほど多くのゴミが出ているのか」と改めて実感します。
日本では、可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミなどの分別が細かく定められており、自治体ごとのルールに従って処理されています。そのため、普段は意識しませんが、世界には日本とは異なるごみ処理の仕組みを持つ国が数多くあります。
今回は、広い国土を持つアメリカ、中国、カナダの家庭ゴミ事情を比較しながら、それぞれの特徴やリサイクルへの取り組みについて見ていきます。
アメリカの家庭ゴミ事情
アメリカは世界でも家庭ゴミの排出量が多い国の一つです。
一人当たりの家庭系一般廃棄物の排出量は世界でも高い水準にあり、豊かな消費社会を反映して、包装材や使い捨て製品なども多く排出されています。
一方で、ごみ処理のルールは国全体で統一されているわけではなく、州や自治体ごとに分別方法や回収方法が異なります。
一般的なごみの分類
多くの自治体では、次のような区分で家庭ゴミを回収しています。
- 可燃ゴミ(食品廃棄物、紙類など)
- 不燃ゴミ(ガラス、金属など)
- リサイクルゴミ(紙、缶、ペットボトルなど)
基本的な分類は日本と似ていますが、「どこまで分別するか」は自治体によって大きく異なります。
埋め立て中心のごみ処理
アメリカでは現在も埋め立て処分がごみ処理の中心となっています。
広大な国土を活かして埋立地を利用する地域が多く、日本のように焼却処理を主体とする国とは大きく異なる点です。
一方で、近年は埋め立て量を減らすため、リサイクルやコンポスト(堆肥化)の推進にも力を入れています。
州ごとに異なるリサイクルへの取り組み
アメリカでは州によって環境政策が異なります。
例えばカリフォルニア州では、容器包装のリサイクルや食品ロス削減などを積極的に推進しており、全米でも先進的な取り組みが行われています。
一方で、リサイクル施設が十分に整備されていない地域もあり、地域差が大きいことがアメリカの特徴と言えるでしょう。

中国の家庭ゴミ事情
世界最大級の人口を抱える中国では、経済発展と都市化に伴い、家庭ゴミの排出量も急速に増加しています。
特に都市部では、ごみ処理能力の向上が大きな課題となっており、政府主導で分別制度や処理施設の整備が進められています。
4分類によるごみ分別
2019年、中国・上海市では家庭ゴミの分別制度が本格的に導入され、その後、多くの都市へ広がりました。
現在は主に次の4種類に分類されています。
- 生ゴミ(食品廃棄物など)
- リサイクル可能ゴミ(紙、プラスチック、金属など)
- 有害ゴミ(電池、蛍光灯、薬品など)
- その他のゴミ
日本とは異なり、生ゴミを独立して回収する点が特徴です。
これは食品廃棄物を堆肥化やバイオガス化へ利用しやすくする目的もあります。
焼却発電の拡大
中国では以前、埋め立て処分が中心でしたが、近年は焼却発電施設の建設が急速に進んでいます。
都市部では、ごみを焼却して発電に利用する施設が増え、埋め立て処分の割合は徐々に減少しています。
一方で、人口の多さから発生するごみの総量は依然として非常に多く、処理能力の拡充が続けられています。
今後の課題
都市部では分別制度が定着しつつありますが、地域によっては分別方法やリサイクル体制に差があります。
また、生ゴミの資源化やリサイクル技術のさらなる普及も、今後の重要な課題とされています。

カナダの家庭ゴミ事情
カナダは世界で2番目に広い国土を持つ一方、人口密度が低いことが特徴です。
そのため、日本のように人口が集中している国とは、ごみ収集や処理の仕組みに違いがあります。
広大な国土では収集ルートが長くなるため、自治体ごとに効率的な回収方法が工夫されています。
コンポスト(堆肥化)の普及
カナダでは、生ゴミや庭木の剪定枝などを堆肥として再利用する「コンポスト」が広く普及しています。
自治体による生ゴミ回収を実施している地域も多く、家庭でもコンポスト容器を利用して堆肥を作ることが一般的です。
家庭から出る有機物を資源として活用する考え方が、日本よりも身近に根付いています。
自治体ごとの分別制度
カナダでも、ごみの分別方法は自治体によって異なりますが、多くの地域では次のように分類されています。
- 可燃ゴミ
- リサイクルゴミ
- コンポスト(生ゴミ・庭木など)
- 粗大ゴミ
日本と同様に自治体ごとのルールがありますが、生ゴミを資源として回収する仕組みが広く導入されている点は特徴的です。

広い国土ならではの課題
都市部ではリサイクルやコンポストが普及していますが、人口の少ない地域では、ごみ収集やリサイクル施設の整備が課題となっています。
また、近年はプラスチックごみの削減や、使い捨てプラスチック規制にも積極的に取り組んでいます。
3カ国を比較すると見えてくること
アメリカ、中国、カナダのごみ処理を比較すると、それぞれ異なる特徴があります。
| 項目 | アメリカ | 中国 | カナダ |
|---|---|---|---|
| 主な特徴 | 埋め立て中心 | 焼却発電が急速に拡大 | コンポストが普及 |
| ごみ分別 | 自治体ごと | 4分類が中心 | 自治体ごと |
| リサイクル | 地域差が大きい | 制度整備が進行中 | コンポストと資源回収が充実 |
| 主な課題 | 埋立依存の低減 | 地域格差の解消 | 広大な国土での収集効率 |
国土の広さや人口密度、歴史、行政制度が異なるため、ごみ処理の方法にも大きな違いがあることが分かります。

日本との違いから学べること
今回調べてみて改めて感じたのは、日本のごみ処理システムは世界的に見ても非常に整備されているということです。
細かな分別ルールや安定した回収体制、高性能な焼却施設など、日本ならではの仕組みが数多くあります。
一方で、海外にも参考になる取り組みがあります。
日本のゴミ問題については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
日本のごみ問題の現状|排出量・リサイクル率・焼却処理の課題を解説
アメリカから学べること
州や自治体が独自に新しいリサイクル制度へ挑戦している点は、日本にとっても参考になります。
地域の実情に合わせた柔軟な制度づくりは、今後さらに重要になるかもしれません。
中国から学べること
急速な都市化に対応するため、ごみ処理施設や焼却発電施設を短期間で整備してきた点は非常に印象的です。
資源循環を国全体で推進しようとするスピード感も特徴の一つです。
カナダから学べること
家庭から出る生ゴミを堆肥として活用する文化は、日本でも今後さらに普及する可能性があります。
特に、生分解性プラスチックや食品廃棄物の資源化が進めば、循環型社会の実現にもつながるでしょう。
生分解性プラスチックについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
生分解性プラスチックは「環境」だけじゃない。コスト構造を変える素材とは?
まとめ
アメリカ、中国、カナダの家庭ゴミ事情を比較すると、それぞれの国が地理的条件や社会環境に合わせたごみ処理システムを構築していることが分かります。
アメリカは埋め立て処分から資源循環への転換、中国は急速なインフラ整備、カナダはコンポストを活用した資源循環など、それぞれに特徴があります。
日本でも資源循環や脱炭素への取り組みが進む中、海外の事例から学べることは少なくありません。
一人ひとりがごみの分別やリサイクルを意識することはもちろん、環境に配慮した製品を選ぶことも、持続可能な社会づくりにつながります。
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バイオプラスチックについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
バイオプラスチックとは?種類・特徴・メリット・課題を分かりやすく解説【2026年版】
バイオマスプラスチックについては、日本有機資源協会のページもご覧ください。
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