
みなさんこんにちは。この記事を書いているのは2025年の10月末です。ふと気付くと暑かった夏も過ぎ去り、朝晩は10度を下回る日も増えてきました。今回は「生分解性プラスチック」を、少し違う角度から見てみたいと思います。
一般的には「環境にやさしい素材」として知られていますが、実は使い方次第で事業全体のコスト削減や業務効率化につながるポテンシャルを秘めています。
生分解性プラスチックとは?
生分解性プラスチックとは、使用後の適切な処理によって、最終的に自然環境下で水と二酸化炭素に分解可能な素材です。適切な処理とは、コンポストを活用したり、土壌で一定期間経過させることを意味し、ISO14855やASTM D6400といった世界的な認証で条件が定められています。
分解のプロセスですが、まず加水分解という過程によって、成形品の劣化(分子の切断)が始まり、その次にバクテリアによる代謝によって、最終的に水と二酸化炭素に分解されます。焼却を伴わずに処分可能ですので、石油由来プラスチックと異なり、たとえ自然環境下に置き去りにされても、いずれは自然に還る素材です。このことから、地球環境にやさしく、ゴミ問題の解消につながると期待されています。

活用事例
日本国内での生分解性プラスチックの市場への普及はまだまだこれからですが、すでにいくつかの分野では導入が進んでいます。最も代表的な導入例は「農業用マルチシート」です。農業用マルチシートとは、種や苗を植えた畑に被せるシートで、他の植物の種子の飛来を防いだり、土壌が適度な湿度を保つ目的で使われています。
従来のポリエチレン製マルチシートの場合、使用後に回収・焼却が必要でしたが、生分解性マルチシートであれば畑にすき込むことで、自然に無害で分解させることが可能です。その結果、回収作業や廃棄処理費用が不要になります。
同様に、育苗ポットや園芸用トレイも生分解性素材が増えています。苗を移植した後に残るポットを自然に還せるため、リサイクルや焼却の手間が省けます。仮に自然環境下にポットが放置されたとしても、最終的には自然に還ります。

日本と海外の生分解性プラスチックの状況
昨今日本では、リサイクルプラスチックやバイオマスプラスチックの活用が盛んですが、実は海外では生分解性プラスチックの方が導入が進んでいる傾向があります。以前ある国に出張で行った際に、ランチにファーストフードのデリバリーをいただいたのですが、ドリンクのカップが入れられた袋が生分解性プラスチックで作られていて感銘を受けました。
そもそも日本は国土が狭くかつゴミ処理のスキームが洗練されていますが、国土の広い海外では、例えばゴミ収集車が全土を網羅できるかなど、地理的に難しい側面があります。そういった土地では生分解性プラスチックが有効です。
むやみやたらにポイ捨てをすることは許されませんが、廃棄インフラの整っていない地域でも、「自然に戻る」という仕組みがそのまま廃棄システムとして機能します。
事業のコスト削減につながる?
さて、今回の主題でもある「生分解性プラスチックは環境にやさしいだけではなく、事業のコスト削減にもつながる」という点の解説です。
生分解性プラスチックが事業コスト削減に貢献する最大の理由は、「処理コスト」と「手間」を同時に削減できる点です。先の農業用マルチシートの例では、最終的に土壌で分解できるので、回収する必要がないという点です。回収しなくて良いということは、人件費、処分費用などが不要になります。数ヘクタールの農地であれば、それないの経費削減につながります。
生分解性プラスチックは、石油由来プラスチックと比較してコストが若干高いですが、このように、事業全体で見ると、コストダウンにつながるケースが多くあります。農業以外でも、例えば食品残渣をポリエチレン製の袋で回収しているとして、業務用コンポストで堆肥化させるとしましょう。ポリエチレンは分解しないので、コンポストに入れる時に袋から残渣のみを取り出す手間、その袋を回収して処分する手間が発生します。
一方で生分解性プラスチックで作られた袋の場合、そのまま堆肥化させることができますので、これらの手間が発生しません。このように、生分解性プラスチックは環境にやさしいだけでなく、「生分解 = 機能性」として、廃棄工程の効率化を実現する素材として捉えることで、新たな価値が生まれます。
