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Vol. 31 カーボンクレジットって何?

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カーボンクレジットの取引のイメージ

みなさんこんにちは。2025年の8月は猛暑を超えて酷暑とも呼べる夏となりました。8月5日には群馬県伊勢崎市で、観測史上最高気温の41.8度を記録しました。もはや体温よりも高い気温が、現実のものとなっています。

テレビやネットからは毎日のように、熱中症警戒アラートが伝えられ、外出を極力避けるべきとの情報が発信されています。これはもう、私たちの生活環境が変わり始めたと言っても、過言ではないレベルと言えます。街では男性でも日傘を使っている人が増えてきました。また小型のポータブル扇風機を見る機会も増えてきました。私も自宅の植物には、朝晩の2回水やりをするようになりました。

このような環境の変化において、様々な企業で温室効果ガス排出量削減の取り組みが行われています。そこで今回は、そういった取り組みを推進する仕組みである、カーボンクレジットについて解説したいと思います。

カーボンクレジットとは?

カーボンクレジットとは、企業間で温室効果ガスの排出削減量を「取引」する仕組みを指します。「カーボン」は炭素、「クレジット」は信用取引を意味し、温室効果ガスの削減量を見える化して取引できるようにしたものです。世の中さまざまな企業がありますが、企業によっては温室効果ガスの削減が容易でない場合があります。

その場合、自社での削減に限界があっても、他社が達成した削減量を購入することで、間接的に削減へ貢献できます。例えば、削減が難しいA社と、比較的削減しやすい環境のB社があるとします。B社が通常の目標を超えて200%削減を達成し、そのうち半分をA社に販売すれば、両社あわせて200%の削減が達成されます。こうした仕組みによって、業界全体で大きな削減効果を生み出すことが可能となります。

一方で「数字のやり取りだけで環境に配慮した取り組みといえるのか?」という疑問の声もあります。確かに一社単独で見れば小規模な取り組みにすぎません。しかし、上場企業をはじめ多くの企業は持続可能な経営を求められており、株主や社会に対してSDGsへの貢献を示す必要があります。単なる「きれいごと」と思われがちですが、持続の可能性を軽視する企業は将来的に社会的評価を失い、事業継続自体が困難になるリスクを抱えています。

持続可能とは環境への配慮のみではありません。例えばエレクトロニクス関連の会社が成長に合わせて事業を変化させ、今では不動産や金融の事業の割合が増えた、といった例もありますが、これも持続可能な経営の一つといえます。

さらに、企業活動は社会全体の仕組みの一部ですので、どこかの企業がその役割を果たせなくなれば、私たちの生活にも影響が及びます。だからこそ、カーボンクレジットは「社会全体で温室効果ガス削減を進めるための有用な仕組み」として注目されています。

CO2削減のイメージ

カーボンクレジットの取引はどうやって行われる?

前述のように、カーボンクレジットとは温室効果ガスの排出削減量を「取引」する仕組みです。しかし、これは目に見えるモノの売買ではありません。例えるならば株取引のようです。では、実際にはどのように取引されているのでしょうか?

日本では現在、主に「J-クレジット制度」と呼ばれる取引プラットフォームが運用されています。これは経済産業省・環境省・農林水産省が共同で運営しており、公的に認証・管理が行われる仕組みです。

J-クレジット制度公式サイト
以下は公式サイトによる説明の抜粋です。

J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量、あるいは適切な森林管理によるCO2吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。本制度は、かつての「国内クレジット制度」と「オフセット・クレジット(J-VER)制度」が発展的に統合されたものであり、国の管理のもとで運営されています。創出されたクレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成や、カーボン・オフセットなど多様な用途に活用できます。要するに、各企業は自社の取り組みを国に申請し、認証を受けることでクレジットを取得し、それを公正・中立な場で売買できるという仕組みです。

売却する側の例

  • 省エネ設備の導入
  • 太陽光など再生可能エネルギーの利用
  • 森林管理による吸収源対策
  • バイオプラスチックの導入など

こうした取り組みを行った企業は、申請を通じて「クレジット発行者」となり、市場で販売できます。

購入する側の例

一方、クレジットを購入するのは、特にプライム市場に上場している企業などです。彼らはサステナビリティへの取り組みを投資家や社会に対して開示することが求められており、自社努力だけでなく、他社の削減分を購入することで全体の削減目標を達成しようとしています。

取引のイメージ

導入するとどんなメリットがある?

省エネ設備の導入には当然コストがかかります。しかし、その取り組みを通じてカーボンクレジットを創出できれば、売却による収益を設備投資の回収にあてることができます。結果として、長期的には経済的なメリットを得られる可能性があります。

また、マーケティングの面でも効果的です。クレジットの創出量という「数字」で取り組みを示せるため、企業ブランドの信頼性向上や、消費者からの好印象につながります。持続可能性に真剣に取り組む姿勢は、投資家や取引先からの評価にも直結します。そして何より重要なのは、取引を通じて温室効果ガスの排出削減が実際に進むということです。これは単なる経済的な仕組みにとどまらず、環境そのものに直接的な貢献を果たす取り組みと言えます。

温室効果ガス削減のイメージ

まとめ

カーボンクレジットは「環境貢献のための数字の取引」と誤解されがちですが、その本質は 社会全体で温室効果ガスを削減するための仕組みにあります。削減が難しい企業も、クレジットの購入を通じて間接的に取り組みに参加でき、削減しやすい企業はその努力をクレジット化することで投資回収や新たな事業機会につなげられます。

さらに、この取り組みは企業のブランド価値向上や投資家からの信頼獲得にも直結します。単なるCSR活動ではなく、将来的に企業が持続的に存続していくために不可欠な経営戦略の一部といえます。もちろん、制度の運用にはコストや手続きの負担などの課題も残されています。

しかし、それを差し引いても、カーボンクレジットは環境と経済の両立を図る強力なツールです。私たちが暮らす社会や、未来の世代にとって持続可能な環境を残すために、企業も、そして消費者である私たち自身も、カーボンクレジットという仕組みを正しく理解し、活用していくことが求められています。

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