今週は急に冷え込み、外出時の服選びが難しいと感じる季節になりましたね。秋が深まるというか、最近「秋がなくなった」と感じる方も多いのではないでしょうか。ついこの前まで暑かったのに、もう冬が近づいてきています。
さて、今日は「リサイクルプラスチック」と「バイオマスプラスチック」について考えてみたいと思います。みなさんは身近にあるリサイクルプラスチックをご存知でしょうか?例えば、飲み終わったペットボトルは回収・分別されて、新しい製品として生まれ変わります。
今回は、このリサイクルプラスチックを深掘りし、そのメリット・デメリット、そして新たな選択肢であるバイオマスプラスチックとの違いを見てみましょう。

リサイクルプラスチックとは
リサイクルとは?
リサイクルとは、何らかの目的で使われた製品を、新しい素材や製品として再利用するためのプロセスです。「使わなくなった物を再利用する」といったイメージがあると思いますが、リサイクルには様々な方法があり、主に以下の3つに分けられます。
マテリアルリサイクル
使い終わった製品を、素材として再利用する方法です。例えば、使用済みのペットボトルを回収・洗浄・粉砕して、再びペットボトルとして加工することがこれに当たり、リサイクルプラスチックの最も身近な例と言えます。同じく牛乳パックもリサイクルが定着しています。回収された牛乳パックは様々なプロセスを経て、再生紙として再び利用されます。
ちなみにペットボトルのリサイクルですが、1990年代頃から取り組みが始まりました。2024年まで約30年間の年月を経て、今では誰もが知る当たり前の取り組みとなっています。

サーマルリサイクル
リサイクルと聞くと、製品を同じような形で再度使う。例えばプラスチックならプラスチック、紙なら紙と思いがちですが、サーマルリサイクルでは、回収したプラスチックを燃やして、熱エネルギーや蒸気として回収しています。例えば熱エネルギーでプールを温水することや、蒸気でタービンを動作させて発電などが行われおり、廃棄物を減らしつつエネルギーを得ることができます。
ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルは少し高度なリサイクルの手法です。使用済みの製品を化学的に分解し、新たな原料として活用する手法です。例えばプラスチック製品を回収して化学的に分解し、ガスや石油などの新たな原料として再利用する方法です。
このように様々なリサイクルの手法がありますが、今回は消費者の方にとって身近な、マテリアルリサイクルによるリサイクルプラスチックと、バイオマスプラスチックを比較してみたいと思います。2022年4月に、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律「プラスチック資源循環促進法」が施行され、環境に配慮した素材への切り替えが政府からも推奨されています。
リサイクルプラスチックのメリットとデメリット
リサイクルプラスチックのメリット
コストが安い
リサイクルプラスチックは、新規に生産する、いわゆるバージン材と比較して、安価なケースが多いです。やはり資本主義で回っている経済では、安さが大きな魅力となります。
石油資源の節約
既に何らかの製品として製造された物をリサイクルするので、新たに石油資源を使いません。石油資源の節約はもちろん、石油資源の産出や運搬をしないので、CO2の排出抑制にもつながります。
ほとんど同じ物性
適切なプロセスでリサイクルされたものは、バージン材とほとんど同じ物性を維持することができます。見た目や質感も同様です。
ここまで聞くと「リサイクルプラスチックは素晴らしい!」と、なりそうですが、世の中そんなに良い話ばかりではありません。 良い面があれば、悪い面もあります。
リサイクルプラスチックのデメリット
供給リスク
リサイクルプラスチックは、ここまでで解説した通り、何らかの目的のために作られた製品をリサイクルすることによって得られる素材です。従って、元になる製品を「供給側」として、市場での「需要側」が増えると、供給リスクとなります。
言い方を変えると、リサイクル可能なプラスチックの量 = ゴミの量に大きな変化はないと考えられますが、今後、リサイクルプラスチックのニーズが高まることで、供給不足が懸念されます。一般的に、供給量が少ないものは相対的に値段が上がるので、長いスパンで見ると、価格上昇のリスクもあります。
物性の変化
プラスチックは成形の過程で熱がかかります。熱をかけると物性や色に変化が生じます。このことを熱履歴と言います。リサイクルを重ねるごとに、熱がかかる回数が増えるので、物性や色の管理は厳格に行う必要があります。
CO2排出
上記の熱履歴から想像できますが、何度かリサイクルされた後、最終的には焼却処分されます。この時燃焼によるCO2が発生するので、地球温暖化への影響は避けられません。

バイオマスプラスチックとは
バイオマスプラスチックは、トウモロコシなどの、再生可能な資源を含むプラスチックです。そのため、石油を原料とする従来のプラスチックに比べ、環境に優しい選択肢として注目されています。過去にも何度かバイオマスプラスチックについて解説した記事がありますが、ここでは改めてメリットとデメリットを簡単に解説していきます。
バイオマスプラスチックのメリット
安定的な供給構造
トウモロコシは三代穀物の一つで、世界中で大規模な栽培が行われています。そのため、トウモロコシ由来のデンプンなど、再生可能な資源を含むバイオプラスチックは、供給リスクが低いと考えることができます。
燃焼時のCO2排出量を抑制
石油由来プラスチックと比べ、燃焼時のCO2排出量が少ないことが、燃焼試験で証明されています。さらに、再生可能な資源、つまり植物などが成長する過程で光合成を行い、大気中のCO2を吸収するカーボンニュートラルにもつながります。
用途に応じた物性のカスタマイズ
バイオマスプラスチックは、コンパウンドと呼ばれる高度な合成技術で製造されます。合成のプロセスや原材料の構成を調整することで、物性のカスタマイズが可能です。
バイオマスマークが使える
バイオマスマークとは、日本有機資源協会が認定する、再生可能な資源を使ったバイオマスプラスチック製品に付与されるマークです。バイオマスマークを商品に掲示することで、消費者に対して、一目で環境にやさしい商品であると伝えることができます。

バイオマスプラスチックの課題
もちろん、バイオマスプラスチックにも、良い面だけで無く課題もあります。
物性の変化
リサイクルプラスチックと同様に、バイオマスプラスチックも成形の過程で熱がかかります。熱をかけると物性や色に変化が生じます。
まとめ
リサイクルプラスチックもバイオマスプラスチックも、それぞれ異なる強みや課題を持ちます。リサイクルプラスチック一辺倒、バイオマスプラスチック一辺倒では無く、用途や環境配慮の観点でバランスを取って、最適な選択をすることが大切です。
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