技術コラム

バイオマスプラスチックはどう作られる?原料からコンパウンド・ペレット化まで解説

バイオマスプラスチックは、植物などの再生可能な生物由来資源を原料の一部、または全部に使用したプラスチックです。

環境配慮型材料として知られるようになりましたが、
「植物由来の原料を、どのようにプラスチックにするのか」
「粉末状の植物原料を混ぜるだけで製品に使えるのか」


と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
バイオマスプラスチックの製造方法は、原料や樹脂の種類によって異なります。

この記事では、VASUが取り扱う、バイオマス原料と既存の樹脂を組み合わせるコンパウンド型のバイオマスプラスチックを中心に、原料選定からペレット化までの流れを解説します。

バイオマスプラスチックとは?

バイオマスプラスチックとは、植物などの再生可能な生物由来資源を原料として使用したプラスチックです。

すべてが植物由来のものだけでなく、石油由来樹脂の一部をバイオマス原料へ置き換えた材料も含まれます。
代表的なバイオマス原料として、次のようなものがあります。

  • トウモロコシやジャガイモなどに由来するデンプン
  • サトウキビ由来の原料
  • 木粉やセルロース
  • 籾殻や麦わらなどの農業副産物
  • 植物油由来の原料

これらを利用することで、化石資源の使用割合を減らし、再生可能な炭素を製品へ取り入れることができます。

ただし、バイオマスプラスチックであることだけで、必ず環境負荷が小さくなるとは限りません。
原料の調達、製造、輸送、成形、使用後の処理までを含めて評価することが重要です。

バイオマスプラスチックの作り方は一つではない

バイオマスプラスチックには、いくつかの製造方法があります。

例えば、植物由来の糖や油などを化学的に変換し、プラスチックそのものを製造する方法があります。

一方、VASUでは、バイオマス由来の原料とPP、PE、ABSなどの樹脂を配合し、実際の成形に使用できる材料へ加工する方法を採用しています。
このように、複数の原料を混合し、必要な性能を持たせる工程を「コンパウンド」と呼びます。

バイオマスプラスチックができるまで

コンパウンド型のバイオマスプラスチックは、主に次の流れで製造されます。

  1. 用途と必要性能を決める
  2. バイオマス原料を選ぶ
  3. ベースとなる樹脂を選ぶ
  4. 原料を前処理する
  5. 配合設計を行う
  6. 押出機で溶融・混練する
  7. 冷却してペレット化する
  8. 品質を確認する

それぞれの工程を詳しく見ていきます。

1. 用途と必要性能を決める

最初に、どのような製品へ使用するのかを確認します。

同じバイオマスプラスチックでも、用途によって必要な性能は異なります。
例えば、次のような項目を整理します。

  • 射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形方法
  • 強度
  • 耐衝撃性
  • 柔軟性
  • 耐熱性
  • 流動性
  • 外観や色
  • バイオマス度
  • 製品の厚みや形状

バイオマス原料の割合だけを先に決めるのではなく、製品として必要な性能と成形性を踏まえて材料を設計することが重要です。

2. バイオマス原料を選ぶ

次に、配合するバイオマス原料を選定します。

バイオマス原料には、デンプン、木粉、セルロース、植物由来パウダーなど、さまざまな種類があります。
原料によって、

  • 粒子の大きさ
  • 含水率
  • におい
  • 耐熱性
  • 樹脂とのなじみやすさ

が異なります。

例えば、デンプン系の原料は水分の影響を受けやすく、木粉などの植物繊維は配合量や粒径によって流動性や外観が変わります。

そのため、単に「植物由来だから使える」というものではなく、加工温度や成形方法との相性を確認する必要があります。

なお、VASUでは牡蠣殻などの未利用資源を配合したコンパウンドにも対応しています。
牡蠣殻はバイオマス原料とは性質が異なりますが、廃棄される副産物を材料として活用するアップサイクルの選択肢になります。

3. ベースとなる樹脂を選ぶ

バイオマス原料と組み合わせる樹脂は、用途や成形方法に応じて選定します。
代表的なものとして、PP、PE、ABSなどがあります。

ポリプロピレン(PP)
PPは、軽量で耐薬品性や耐熱性に優れた樹脂です。
日用品、容器、自動車部品、家電部品など、幅広い用途に使用されています。
バイオマス原料を配合することで、既存のPP製品から環境配慮型材料への切り替えを検討できます。

ポリエチレン(PE)
PEは、柔軟性や耐水性に優れた樹脂です。
フィルム、袋、容器、ボトルなどに使用されています。
PEには低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなど複数の種類があり、必要な柔軟性や強度に応じて選ばれます。

ABS樹脂
ABSは、耐衝撃性、剛性、外観性のバランスに優れた樹脂です。
家電製品の筐体、日用品、自動車部品、電子機器部品などに使用されています。
外観や成形性が求められる用途では、バイオマス原料の分散状態や色調を細かく調整する必要があります。

4. 原料を前処理する

バイオマス原料には、水分が含まれている場合があります。
水分が多いまま高温で混練すると、

  • 気泡
  • 銀条
  • におい
  • 樹脂の劣化
  • 強度低下

などの原因になることがあります。

そのため、必要に応じて乾燥や粉砕、ふるい分けなどの前処理を行います。粒子の大きさが不均一な場合も、分散不良や成形不良につながるため、原料状態の管理が重要です。

5. 配合設計を行う

バイオマス原料と樹脂をそのまま混ぜるだけでは、均一な材料にならない場合があります。

植物由来原料と樹脂では、表面の性質や水分とのなじみ方が異なるためです。
そこで、必要に応じて次のような材料を組み合わせます。

  • 相溶化剤
  • 分散剤
  • 着色剤

バイオマス原料の割合を高めるほど、強度や流動性、外観などへ影響が出ることがあります。そのため、バイオマス度と製品性能のバランスを見ながら配合を調整します。

6. 押出機で溶融・混練する

配合した原料は、押出機へ投入します。

押出機の内部にはスクリューがあり、原料を送りながら加熱し、樹脂を溶融させます。同時に、バイオマス原料や添加剤を樹脂の中へ均一に分散させます。

この工程を「溶融混練」と呼びます。
コンパウンドでは、次の条件が品質に大きく影響します。

  • 加工温度
  • スクリューの回転数
  • 原料の投入順序
  • 混練時間
  • せん断の強さ
  • 押出量

温度が低すぎると樹脂が十分に溶けず、分散不良につながります。

反対に温度が高すぎると、バイオマス原料や樹脂が劣化する可能性があります。原料の特性に合わせて、適切な条件を設定する必要があります。

7. 冷却してペレット化する

押出機で混練された材料は、細長いストランド状などで押し出されます。その後、水冷や空冷によって冷却し、一定の大きさに切断します。

こうして作られた粒状の材料が「ペレット」です。
ペレット化することで、

  • 計量しやすい
  • 輸送しやすい
  • 成形機へ安定して供給できる
  • 粉じんが発生しにくい

といった利点があります。
完成したペレットは、射出成形機や押出成形機などへ投入され、最終製品へ加工されます。

8. 品質を確認する

ペレット化した後は、要求仕様に応じて品質を確認します。
主な確認項目には、次のようなものがあります。

  • MFR・MFIなどの流動性
  • 引張強度
  • 曲げ強度
  • 衝撃強度
  • 比重
  • 水分
  • 色調
  • 外観
  • バイオマス原料の配合状態

コンパウンドが完成しても、実際の成形機で問題なく加工できるとは限りません。
そのため、試作成形を行い、

  • 成形性
  • 金型への充填性
  • 寸法
  • 外観
  • 強度
  • におい

などを確認しながら、必要に応じて配合を調整します。

コンパウンドが難しい理由

バイオマスプラスチックの製造は、植物由来の粉末と樹脂を単純に混ぜる作業ではありません。

バイオマス原料は、樹脂とは異なる性質を持っています。
そのため、配合や混練が適切でない場合、

  • 原料が一部に固まる
  • 表面に粒子が現れる
  • 強度にばらつきが出る
  • 流動性が低下する
  • 成形品が割れやすくなる
  • 色や外観が不均一になる

といった問題が発生します。

原料の粒径や水分、樹脂との相性、添加剤、加工温度などを総合的に調整することが必要です。
これが、コンパウンドに専門的な知識と経験が求められる理由です。

バイオマス度が高ければよいとは限らない

環境配慮を重視すると、バイオマス原料の割合をできるだけ高くしたいと考えることがあります。
しかし、バイオマス度を高めることで、

  • 強度が低下する
  • 流動性が変わる
  • 表面が粗くなる
  • 吸湿しやすくなる
  • 成形条件が狭くなる

場合があります。

製品として長期間使用できなかったり、不良率が高くなったりすれば、材料使用量や廃棄物が増える可能性もあります。
そのため、環境性能だけでなく、製品寿命、成形性、コストを含めて適切な配合を決めることが重要です。

まとめ

コンパウンド型のバイオマスプラスチックは、主に次の工程で製造されます。

  1. 用途と必要性能を決める
  2. バイオマス原料を選ぶ
  3. ベース樹脂を選ぶ
  4. 原料を乾燥・調整する
  5. 配合を設計する
  6. 押出機で溶融・混練する
  7. 冷却・切断してペレット化する
  8. 物性と成形性を確認する

一見すると原料を混ぜるだけに見えますが、実際には、原料選定、前処理、配合設計、加工条件の調整など、多くの技術が必要です。

特に、バイオマス度を高めながら、強度、流動性、外観などを維持するには、用途に応じたコンパウンド設計が重要になります。

VASUジャパンでは、PP、PE、ABSなどをベースとしたバイオマスプラスチックのほか、用途に応じたコンパウンドOEMに対応しています。

バイオマス度、強度、流動性、外観などのご要望に合わせて配合を検討し、小ロット25kgから試作用材料をご提供しています。
既存材料からの切り替えや、環境配慮型製品の開発をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

バイオプラスチックをご検討ですか?

「自社製品でも使えるのか?」という段階でも構いません。
VASUジャパンでは、バイオマスプラスチック・生分解性プラスチック・コンパウンドOEMなど、用途に合わせた材料提案を行っています。

  • 試作用材料を25kgからご提供
  • 既存設備での成形を前提に相談可能
  • 強度、流動性、外観、バイオマス度などを調整可能

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