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Vol. 23 自社製品にバイオプラスチックを導入する流れを徹底解説!ポイントや注意点も紹介

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近年、様々な事業において環境への配慮が求められる中で「バイオプラスチック」が、注目を集めています。多くの企業が自社製品への導入を検討していますが「何から始めたら良いか分からない」という声も少なくありません。

そこで今回は、自社製品にバイオプラスチックを導入する際の、具体的な流れを分かりやすく解説します。導入のメリットや注意点、成功のためのヒントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

環境のイメージ

バイオプラスチックの導入を決める背景

自社製品にバイオプラスチックを導入する理由には、次のような背景があります。

環境への配慮

カーボンニュートラルの実現

バイオプラスチックは植物由来などの、再生可能な資源を原料に含んでいます。植物が育つ時に光合成を行うことでCO2が吸収されるので、CO2の量を削減可能です。

廃棄物の削減

バイオプラスチックの中には、生分解性を持つのものがあります。これら生分解性プラスチックは自然界で無害で分解可能なため、コンポストや専用の廃棄場を設けることで、自然に分解させる事が可能なため、廃棄コストを減らすことができます。

脱炭素のイメージ

規制への対応

プラスチック規制への対応

EUや一部の国では、使い捨てプラスチック製品の販売が規制されています。バイオプラスチックの導入は法令遵守の観点からも重要です。こういった動きには各国が同調する流れがあり、いずれは日本でも規制されると考える事ができます。

また、そのような規制が設けられている国にある企業と取引をする場合、たとえ日本企業であっても、その国の規制に沿った仕様で輸出をする必要があります。例えば梱包資材に生分解性を求められるケースなど、耳にしたことがあります。

企業ブランドの価値向上

SDGsやESG経営への対応

消費者の環境意識の高まりを受けて、「環境にやさしい企業」というイメージを形成することが可能です。昨今よく使われているSDGsは、持続可能な社会という意味ですが、現在の地球環境を考えると、企業が事業を持続させるためには、環境への配慮が必須になると考える事ができます。石油由来プラスチックの商品を製造する会社を例に挙げてみると、企業が経営を持続させるためには、100年後であっても、運営可能な事業が求められます。

バイオマスマーク

日本有機資源協会が認証しているバイオマスマークを、商品や梱包に表示する事ができるので、消費者に対して効果的な訴求ができ、ブランディングが可能です。

バイオプラスチック導入の流れ

それではここから、具体的なバイオプラスチック導入の流れを解説します。

ステップ1:導入目的の明確化

何のために導入するのかを明確にする

  • 導入の目的は、企業として環境配慮を行うためなのか、または環境にやさしいというブランディングを行うのかなど、目的を明確にする必要があります。
  • バイオプラスチックは、石油由来プラスチックと比較すると、新しい素材なので流通量が限られていいます。そのためコストも若干高いです。
  • 新商品開発では、「同時にコストダウンも」などとなりがちなので、目的は明確にしておく必要があります。製造プロセスなどの工夫によって、バイオプラスチックを導入しても、経済モデルに支障がないことがベストです。
ミーティングのイメージ

テスト販売が可能な商品を選定する

  • いきなり全てバイオプラスックへの切り替えは現実的ではありません。
  • そのため、期間限定でも良いですし、ある商品の派生としてでも良いので、バイオプラスチックを導入する事が現実的な商品を選びます。
  • バイオプラスチックの試作は成功したが、最終的にコストが合わないという話はよくあります。
  • 導入目的の部分でも述べましたが、選定する商品のコスト構造もしっかりと把握しておく必要があります。

用途は食品包装か工業製品か?

  • 食品包装の場合、食品衛生法の適合が必要です。これに対応できるバイオプラスチックを選ぶ必要があります。

ステップ2:バイオプラスチックの種類選定

製品の用途や求められる機能に応じて選定する

  • バイオマスプラスチックは、PP(ポリプロピレン)や、PE(ポリエチレン)などと、再生可能な資源がミックスされており、カトラリーやレジ袋など、さまざまな製品に使われています。
  • 生分解性プラスチックは、PLA(ポリ乳酸)などを原料にして、使用後に自然環境下で分解させる事が可能です。主に使い捨てが想定される製品に適しています。

ステップ3:素材メーカーの選定

信頼できる供給先を見つける

  • 材料メーカーごとに機能性や物性、価格が異なるため、事前の調査が必要です。
  • 国内メーカー or 海外メーカー?
  • 輸入時の関税や輸送コストも考慮する必要があります。

試作を行う

  • 小ロットでの試作テストが可能か、試験品のサンプルを依頼しましょう。

ステップ4:設計および成形プロセスの検討

バイオプラスチックは、石油由来プラスチックと加工性が異なることがあるので、素材メーカーに成形設備について確認が必要です。

成形機の対応確認

  • 金型を含め、既存の成形設備に対応しているか確認します。

設計の見直しが必要か?

  • バイオプラスチックの特性に合わせて金型の形状や厚みを見直すことがあります。
プラスチック容器のイメージ

ステップ5:試作品の製作と性能評価

サンプルを試作して性能を確認します。

実際の製品形状でのテストが重要

  • 機械的強度、耐久性、耐熱性、成形性のテストを実施します。

不具合の修正

  • 形状や設計の修正が必要な場合は、金型の改修費が発生する可能性があります。
  • 複雑な形状や高い嵌合性が求められる場合以外は、金型は従来のものをそのまま使えます。

ステップ6:量産体制の構築

生産コストと生産能力を確認

生産ラインの確認

  • 既存の成形ラインでの流用が可能かを事前に確認します。
  • 安定供給できるサプライヤーと契約を結ぶ必要があります。

ステップ7:製品の品質チェックと市場投入

法令への適合性や製品安全を確認

製品の認証取得

  • 食品接触材料の認証(食品衛生法対応)が必要な場合は、必要な試験をクリアする必要があります。
  • バイオマスマーク」の取得も検討しましょう。
  • 消費者に環境貢献をアピールする販促活動を展開します。
研究開発のイメージ

まとめ

自社製品にバイオプラスチックを導入する流れは、導入目的の明確化から素材の選定、試作とテスト、量産化までの一連のプロセスを経る必要があります。 バイオプラスチックの導入は、SDGsへの対応や企業のブランド価値向上に直結するため、多くの企業にとって魅力的な選択肢です。ただし、コスト管理や性能評価の徹底が求められます。 もし、導入の際に不明点があれば、素材メーカーやプラスチック成形メーカーに相談することをおすすめします。 バイオプラスチックの導入を進めることで、持続可能な未来の製品開発に貢献できるでしょう。 この記事が貴社の導入検討の一助となれば幸いです!

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