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Vol. 28 とうもろこしの歴史と現在を探る

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とうもろこしの写真

みなさん突然ですが、とうもろこしはお好きですか?

私は好きでも嫌いでもありませんが、和食に洋食に中華まで、幅広いジャンルの料理で使われています。なぜバイオプラスチックのメールマガジンで、唐突にとうもろこしの話題かと言うと、バイオマスプラスチックの原料にも、とうもろこし由来のスターチが使われているからです。

今回は「とうもろこし」について深掘りしてみたいと思います。

とうもろこしはどの国で多く作られている?

とうもろこしは、米、小麦と並ぶ世界三大穀物の一つで、世界的に生産されています。食料として美味しくいただいていますが、それ以外にも、家畜の飼料、工業製品の原料など、多岐にわたって活用されています。そんなとうもろこしですが、どの国で多く作られているか調べてみました。

とうもろこしの国別年間生産量ランキング

  1. アメリカ: 383,943,000 トン
  2. 中国: 272,552,000 トン
  3. ブラジル: 88,462,000 トン

外務省「とうもろこしの生産量の多い国」より

単位を間違えているかと思うほど、大量の生産量であることが分かります。1位のアメリカは年間で実に4億トンにも上る生産量を誇ります。日本は20万トン前後ですので、アメリカは日本の2,000倍もの量を生産していることになります。アメリカは広大な国土と栽培に適した気候に恵まれており、大規模な生産が可能となっています。平野部にはコーンベルトと呼ばれる地域もあるそうです。

前述のように、すべてが食料ということではなく、飼料や工業製品、そしてバイオマスプラスチックにも使われているスターチなどに活用されています。

日本国内のとうもろこしの出荷量ランキング

日本地図のイメージ

さて、アメリカと比べると小規模ではありますが、日本でもとうもろこしは生産されています。

とうもろこしの都道府県別年間出荷量ランキング

  1. 北海道: 90,800 トン
  2. 千葉県: 14,100 トン
  3. 茨城県: 10,100 トン

独立行政法人 農畜産業振興機構「スイートコーンの需給動向」より

日本国内ですと、北海道がダントツの一位で、年間9万トンの出荷量を誇ります。スーパーなどで見かけるとうもろこしは、確かに北海道が多い気がします。 北海道と千葉県・茨城県では、気候が異なりますが、とうもろこしの栽培には、土壌と昼夜の寒暖差が重要だそうです。

とうもろこし栽培の歴史

トウモロコシ畑の写真
トウモロコシ畑

さてここまで、とうもろこしは世界三大穀物の一つであり、大量のとうもろこしが生産されている事が分かりました。食用はもちろん、家畜の飼料や工業製品などに使われており、私たちの生活からは切り離せない事が分かりましたが、人類はいつからとうもろこしを活用してきたのか解説します。

まず最初に驚きなのが、これだけ身近に感じるとうもろこしですが、農林水産省によると、自然環境における野生種のとうもろこしは発見されていないという事です。とうもろこしに近い存在の近縁種に、テオシントとトリプサクムという植物があり、これらはメキシコとグアテマラの広範囲で自生しているとのことです。

日本に伝わってきたのは1500年代後半で、オランダから長崎に伝わった、フリント種が最初とのことです。その後明治時代になり、全国に栽培が広がりました。世界レベルで見ると、なんと紀元前7000年前には人類によるとうもろこしの活用が始まっていたようです。

農林水産省より

とうもろこしの種類

前述した通り、とうもろこしは家畜の飼料や工業用品の原料としても使われていますが、やはり身近なのは食用です。食用のとうもろこしはスイートコーンと呼ばれる品種で、糖質の含有量が高いです。それでは、家畜の飼料や工業用品の原料には、どのような品種が使われているのか解説します。

なんと、スイートコーンを含め、大きく分けて7種類ものとうもろこしが存在しています。私はせいぜいスイートコーンと、ポップコーンは知っていましたが、こんなに多いとは思いませんでした。ここでは簡単に解説しますので、詳しくは独立行政法人農畜産業振興機構のウェブサイトをご覧ください。

ポップコーンの画像
ポップコーン

こんなにたくさんある、とうもろこしの種類

  1. デントコーン
    硬い澱粉層 / 主にコーンスターチや飼料、最近ではバイオエタノールとしても活用
  2. フリントコーン
    硬い澱粉層 / 主に食用として活用
  3. ポップコーン
    みなさんお馴染みのポップコーン
  4. スイートコーン
    澱粉が少なく糖質が多い / 主に食用として活用
  5. フラワーコーン
    粉に挽きやすい品種 / 主に食用として活用 (フライの衣など)
  6. ワキシーコーン
    粒の外観がワックスの様 / 主に食用として活用
  7. ポッドコーン
    主に観賞用

食用以外のとうもろこしの活用

ここまで少し触れましたが、とうもろこしは食用以外にも、家畜の飼料や工業用に活用されています。家畜の飼料としてのとうもろこし 主に、牛、豚、鶏の資料としてとうもろこしが活用されています。

ちょうどこの記事を書いている時、世間では令和の米騒動で、古いコメは家畜の餌といった話をニュースで聞きましたが、とうもろこしの場合、そもそも家畜の飼料とすることを目的として、デントコーンが栽培されています。

「家畜の餌を人間が食べる」「食料を無駄遣いしている」といった意見を聞くこともありますが、デントコーンはそもそも家畜の飼料として栽培されていることを覚えておきたいです。尚、とうもろこしと聞くと、実の部分を想像しがちですが、資料としては茎や葉っぱも活用されています。

農林水産省より

工業用としてのとうもろこし

食用、家畜の飼料に続いて、とうもろこしは工業用としても活用されています。主に、燃料としてのバイオエタノール、糊やコーティングに用いられるコーンスターチなどです。コーンスターチは、我々VASUジャパンとしても、バイオプラスチックの原料として活用し、カーボンニュートラルに貢献していますが、バイオエタノールも同様に、石油資源からのスイッチによって、CO2削減につながる重要な役割を果たしています。

農林水産省より

まとめ

さて今回は、我々VASUジャパンがバイオマスプラスチックの原料として採用している、とうもろこしに焦点を当ててみました。食糧としてはもちろん、家畜の飼料や工業用としても、重要な役割を果たしていることがわかりました。

石油由来プラスチックや燃料から完全にとうもろこしにスイッチすると、環境面で改善が進みそうですが、例えば収穫量に限りがあるなど、様々な局面に接すると思います。石油由来プラスチックや燃料と共に、バランスを取りながら活用したいところです。
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