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とうもろこしの歴史と現在|種類・用途からバイオプラスチック原料まで解説

この記事は2025年7月15日にメールマガジンVol. 28として配信されたものです。
初回投稿日: 2025年10月16日
最終更新日: 2026年7月30日

とうもろこしと聞くと、茹でとうもろこしやコーンスープ、ポップコーンなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
和食、洋食、中華料理を問わず幅広く使われており、私たちにとって身近な農作物の一つです。
一方で、世界で生産されるとうもろこしのすべてが、そのまま人の食料として利用されているわけではありません。
とうもろこしは、

  • 人の食料
  • 家畜用飼料
  • コーンスターチ
  • バイオエタノール
  • 工業製品
  • バイオマスプラスチック

など、非常に幅広い分野で利用されています。
VASUジャパンが取り扱うバイオマスプラスチックにも、とうもろこし由来のスターチを配合した材料があります。
今回は、とうもろこしの歴史や種類、世界と日本の生産状況、食用以外の用途、バイオプラスチックとの関係について解説します。

とうもろこしとは

とうもろこしは、米、小麦と並ぶ世界の主要穀物の一つです。
2024年の世界全体の生産量は約12億2,000万トンに達しており、世界各地の食料供給、畜産、工業生産を支える重要な作物となっています。
日本では夏野菜としてのスイートコーンが身近ですが、世界規模で見ると、飼料用や工業用として生産されるとうもろこしが大きな割合を占めています。
品種や用途によって、甘さ、粒の硬さ、デンプンの性質などが異なることも、とうもろこしの特徴です。

とうもろこしの生産量が多い国

世界のとうもろこし生産では、アメリカ、中国、ブラジルが主要な生産国です。
これらの国では、広い農地を活用して大規模な栽培が行われています。生産されたとうもろこしは、食料だけでなく、家畜用飼料、コーンスターチ、バイオエタノールなどにも利用されています。

アメリカのコーンベルト

アメリカ中西部には、「コーンベルト」と呼ばれるとうもろこしの大規模生産地域があります。
広大で平坦な農地、栽培に適した気候、機械化された農業などを背景に、大量生産が行われています。
アメリカで生産されるとうもろこしは、家畜用飼料として使用されるだけでなく、燃料用エタノールやコーンスターチなどの工業用途にも活用されています。

中国とブラジルでも大規模に生産

中国では、人口を支える食料や畜産用飼料として、とうもろこしが重要な役割を担っています。
ブラジルでも生産量が多く、大豆などと並ぶ主要農産物として、国内消費と輸出の両方に利用されています。
とうもろこしは単なる食品ではなく、各国の食料安全保障や畜産業、エネルギー政策にも関係する作物といえます。

日本のとうもろこし生産

日本国内でも、食用のスイートコーンを中心にとうもろこしが生産されています。
2021年のスイートコーン出荷量は、全国で約17万8,400トンでした。
出荷量の多い都道府県は、次のとおりです。

順位都道府県出荷量
1位北海道77,600トン
2位千葉県14,100トン
3位茨城県11,500トン
4位群馬県10,200トン
5位山梨県7,610トン

北海道の出荷量が突出しており、国内全体の4割以上を占めています。
北海道は広い農地を確保しやすく、とうもろこしの栽培に適した気候を持つことから、国内最大の産地となっています。
ただし、ここで示した数字は主に人が食べるスイートコーンの統計です。
家畜用飼料として栽培されるとうもろこしや、海外から輸入されるとうもろこしとは区別して考える必要があります。

とうもろこし栽培の歴史

現在のとうもろこしは、長い年月をかけて人の手で改良されてきた作物です。
起源については諸説ありますが、メキシコ周辺に自生する「テオシント」と呼ばれる近縁植物から栽培化されたと考えられています。
野生のテオシントは、現在のとうもろこしとは外観が大きく異なります。人々が種を選び、栽培を繰り返す中で、粒が大きく、収穫しやすい現在の姿へ変化してきました。
とうもろこしの栽培は、数千年前にはすでに中南米で始まっていたとされています。
その後、大航海時代を経てヨーロッパやアジアへ伝わり、世界各地で栽培されるようになりました。

とうもろこしはいつ日本へ伝わったのか

日本へは、天正年間の1573年から1591年ごろ、ポルトガル人によってフリントコーン系統のとうもろこしが伝えられたとされています。
その後、明治時代に海外から新しい品種が導入され、北海道をはじめとする各地で栽培が広がりました。
現在では食用だけでなく、飼料用作物としても栽培されています。

とうもろこしの主な種類

とうもろこしには、粒の形状やデンプンの性質が異なる複数の種類があります。
私たちが普段食べている甘いとうもろこしは、その中の一種類にすぎません。

スイートコーン

スイートコーンは、糖分を多く含む食用品種です。
茹でとうもろこし、缶詰、冷凍食品、スープ、サラダなどに利用されています。
日本のスーパーで一般的に販売されているとうもろこしの多くが、このスイートコーンです。

デントコーン

デントコーンは、成熟すると粒の上部がくぼむことから、この名称で呼ばれています。
主な用途は、

  • 家畜用飼料
  • コーンスターチ
  • バイオエタノール
  • 工業原料

です。
バイオプラスチックに使用されるコーンスターチも、主にデンプンを多く含む工業用のとうもろこしから製造されます。

フリントコーン

フリントコーンは、粒の外側に硬いデンプン層を持つ種類です。
中南米をはじめとする地域で食用にされ、日本へ最初に伝わったとうもろこしも、フリントコーン系統だったとされています。

ポップコーン

ポップコーンは、粒の外皮が硬く、内部に適度な水分を含む種類です。
加熱すると内部の水分が水蒸気となり、圧力によって外皮が破裂して膨らみます。
ポップコーン専用の品種であり、一般的なスイートコーンを乾燥させても、同じようには膨らみません。

フラワーコーン

フラワーコーンは、粒の内部が柔らかく、粉にひきやすい種類です。
小麦粉のように製粉しやすいため、パンや焼き菓子、地域の伝統料理などに利用されます。

ワキシーコーン

ワキシーコーンは、デンプンの構成に特徴がある品種です。
粘りのある性質を持ち、食品の増粘、接着剤、製紙、繊維加工などにも利用されています。

ポッドコーン

ポッドコーンは、一粒ずつが小さな葉のような組織に包まれている珍しい種類です。
現在では主に研究用や観賞用として扱われています。

とうもろこしの食用以外の用途

とうもろこしは、人が食べるだけでなく、さまざまな産業を支える原料として利用されています。
主な用途は、家畜用飼料と工業原料です。

家畜用飼料としてのとうもろこし

とうもろこしは、牛、豚、鶏などの家畜用飼料として世界中で使用されています。
飼料用には、主にデントコーンなどが栽培されます。
私たちが食べるスイートコーンの余剰品を、単純に家畜へ与えているわけではありません。品種や栽培目的の段階から、人の食用と飼料用に分けられています。
また、飼料用とうもろこしでは、粒だけでなく茎や葉も利用されます。
植物全体を収穫して発酵させた「サイレージ」は、牛などの飼料として活用されています。農林水産省でも、国産飼料の確保に向けて飼料用とうもろこしの生産拡大を推進しています。

工業原料としてのとうもろこし

とうもろこしから得られるデンプンや糖は、食品以外にも幅広く利用されています。
代表的な工業用途には、次のようなものがあります。

  • コーンスターチ
  • 接着剤
  • 紙の表面加工
  • 繊維加工
  • 発酵原料
  • バイオエタノール
  • バイオプラスチック

植物が光合成によって作り、種子に蓄えたデンプンは、さまざまな食品や工業製品の原料として利用できます。

コーンスターチとは

コーンスターチは、とうもろこしの粒から取り出したデンプンです。
食品分野では、とろみ付け、菓子、麺類などに利用されています。
工業分野では、

  • 紙のコーティング
  • 接着剤
  • 繊維製品
  • 医薬品
  • 化粧品
  • 生分解性材料
  • バイオマスプラスチック

などに使われています。
コーンスターチは再生可能な植物由来原料であり、石油由来原料の一部を置き換える材料として活用できます。

とうもろこしとバイオプラスチックの関係

とうもろこしは、主に二つの形でバイオプラスチックに関係しています。

コーンスターチを樹脂へ配合する

一つ目は、とうもろこしから取り出したスターチを、PPや生分解性樹脂などへ配合する方法です。
スターチを配合することで、製品に含まれる石油由来樹脂の割合を減らし、バイオマス度を高めることができます。
ただし、配合量を増やすほど必ず優れた材料になるわけではありません。
スターチの配合によって、次のような特性が変化する可能性があります。

  • 引張強度
  • 衝撃強度
  • 耐水性
  • 流動性
  • 成形性
  • 外観
  • 臭気

そのため、用途に応じて、ベース樹脂、スターチの種類、配合量、添加剤などを調整する必要があります。

PLAなどの原料として利用する

二つ目は、とうもろこしに含まれる糖やデンプンを発酵させ、乳酸などを経て樹脂を製造する方法です。
代表的な材料が、PLA(ポリ乳酸)です。
PLAは植物由来原料から製造できるバイオマスプラスチックであり、一定の条件では生分解性も持っています。
容器包装、カトラリー、繊維、フィルム、射出成形品など、幅広い用途で利用されています。
ただし、PLAは耐熱性や耐衝撃性、成形条件などに課題が出る場合があります。
用途によっては、PBATやほかの樹脂、添加剤、充填材と組み合わせて物性を調整します。

とうもろこし由来プラスチックと食料競合

とうもろこしを工業用途へ利用する際、「人が食べる食料をプラスチックに使ってよいのか」という疑問が生じることがあります。
確かに、農産物を工業原料として大量に使用する場合は、

  • 食料との競合
  • 飼料価格への影響
  • 農地利用
  • 水資源
  • 肥料や農薬の使用
  • 輸送時の環境負荷

などを考慮する必要があります。
一方で、すべてのとうもろこしが同じ目的で栽培されているわけではありません。
人がそのまま食べるスイートコーンと、飼料・スターチ・エタノール向けのデントコーンでは、品種や用途が異なります。
また、バイオプラスチックへの採用を判断する際は、「植物由来だから環境に良い」と単純に結論付けるのではなく、原料調達から製造、輸送、使用、処分までを含めて評価することが重要です。
必要に応じて、LCAやCFPを用いて、製品全体の環境負荷を比較します。

とうもろこし由来バイオプラスチックのメリット

とうもろこし由来のスターチや樹脂を利用する主なメリットには、次のものがあります。

  • 石油由来原料の使用量を削減できる
  • 再生可能な植物資源を活用できる
  • 製品のバイオマス度を高められる
  • 環境配慮型製品として訴求できる
  • 配合によって自然な色や質感を表現できる
  • 生分解性樹脂との組み合わせが可能

特に、日用品、包装材、農業資材、土木資材などでは、製品の用途や使用後の処理方法に合わせた材料設計が可能です。

とうもろこし由来バイオプラスチックの課題

一方で、導入時には次の課題を確認する必要があります。

  • 一般的な石油由来樹脂より価格が高くなる場合がある
  • スターチの配合量によって物性が変化する
  • 吸湿性や耐水性への配慮が必要
  • 成形前の乾燥が必要になる場合がある
  • 成形温度や流動性の調整が必要
  • バイオマス度と製品性能の両立が必要

既製の材料だけで要求性能を満たせない場合は、用途に合わせて配合を調整するOEMコンパウンドも選択肢となります。

VASUジャパンのスターチ配合コンパウンド

VASUジャパンでは、とうもろこし由来のスターチをはじめ、さまざまなバイオマス原料を使用したコンパウンドをご提案しています。
用途や成形方法に合わせて、可能な範囲で次の項目を調整します。

  • スターチの配合量
  • バイオマス度
  • 強度
  • 流動性
  • 耐熱性
  • 柔軟性
  • 外観
  • 生分解性

材料設計から試作、コンパウンド、ペレット製造、量産まで、一貫した工場で対応しています。
「石油由来樹脂の使用量を減らしたい」「バイオマス度を高めたい」「既存材料では必要な物性を満たせない」といった課題がございましたら、ご相談ください。
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まとめ

とうもろこしは、米や小麦と並ぶ世界の主要穀物であり、人の食料だけでなく、家畜用飼料や工業原料としても重要な役割を担っています。
とうもろこしから得られるスターチは、食品、製紙、接着剤、バイオエタノールなどに利用され、バイオプラスチックの原料としても活用されています。
一方で、植物由来原料を使用すれば、すべての環境課題が解決するわけではありません。
食料との競合、土地利用、製造時の環境負荷、材料性能、価格などを考慮し、製品の用途に適した形で導入することが重要です。
とうもろこし由来のスターチや樹脂は、石油由来原料の使用量を減らし、再生可能な炭素へ切り替えていくための選択肢の一つです。
製品に必要な性能と環境面での目標を整理し、適切な配合と用途を選ぶことが、現実的なバイオプラスチック活用につながります。

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