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Vol. 22 真空成形に適したバイオマスプラスチックシートの活用例を徹底解説!

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みなさんの身の回りの物は、様々な方法で成形されています。例えばテレビのリモコンは射出成形、液体の入ったボトルはブロー成形といったように、物に応じてそれぞれ成形方法が異なります。今回はその中でも、薄手のトレーなどの製造に用いられる、真空成形について解説します。また、後半では真空成形に適したバイオマスプラスチックシートについてもご紹介します。

真空成形用シートのイメージ

真空成形とは?

真空成形(Vacuum Forming)とは、加熱して柔らかくしたプラスチックシートを型に押し付け、真空状態にして密着させて成形する方法です。成形後に冷却して硬化させる事で形作ります。 真空成形は、シンプルなある程度複雑な形状であっても、製品を大量生産できるため、食品のトレーや家電部品、自動車部品など、幅広い分野で活用されています。

真空成形の仕組み

真空成形の基本的なプロセスは以下の通りです。

1. プラスチックシートの加熱

成形用のプラスチックシートを加熱して柔らかくします。

2. 型へのシートのセット

加熱されたプラスチックシートを型の上にセットします。

3. 真空吸引

シートと型の間の空気を吸い出して真空状態にし、シートを型に密着させます。

4. 冷却と硬化

冷却を行い、プラスチックを硬化させます。

5. 製品の取り出しと仕上げ

完成品を型から取り出し、余分な部分を切り取って仕上げます。

真空成形のイメージ
真空成形のイメージ

真空成形のメリット

他の成形方法と比較した際の、真空成形の主なメリットを紹介します。

1. 低コストの型製作が可能

射出成形などの金型を用いる方法と比較して、型の製作コストが低いのが大きな魅力です。木型やアルミ型が使用されることも多く、少量生産や試作品の製造にも向いています。

2. 複雑な形状でも成形が可能

真空の力を使うため、複雑な形状でも成形が可能です。そのため、家電製品のカバーや、精密機器のケースなどにも使用されます。

3. 大型製品にも対応

射出成形は、熱した樹脂を金型全体に行き渡らせる必要があり、製品の大きさに限界がありますが、真空成形は大型の製品にも対応可能です。たとえば、自動車の内装パネルや大型の梱包用トレーがこれに該当します。

4. 端材がリサイクル可能

端材のリサイクルが容易製造時に発生する余分な部分は、切り取った後にリサイクル可能です。持続可能な製造を考える上で、この点は大きなメリットです。

真空成形のデメリット

もちろん、真空成形にもいくつかの課題があります。

1. 高精度の製品は難しい

射出成形に比べ、寸法精度が劣ることが多いです。これは、真空の吸引力だけでシートを密着させるため、どうしても形状の再現性が低くなるからです。

2. 厚みの均一性が難しい

シートを伸ばす過程で、厚さが不均一になりやすいという問題もあります。これが原因で、薄い部分が割れやすくなる可能性があります。

真空成形の活用事例

真空成形は、私たちの身の回りの製品にも多く使われています。

1. 食品トレー

スーパーやコンビニで見かける食品のトレーは、ほとんどが真空成形によって作られています。軽くて安価、かつ大量生産が可能なため、最適な製造方法です。

2. 自動車内装部品

自動車の内装パネルやドアトリムは、複雑な形状を持つため、真空成形が多く使用されています。さらに、質感のあるデザインの実現にも寄与しています。

3. 各種収納ケース

その他、生活に関する身の回りの様々な物の収納ケースやパッケージとしても使われています。

食品トレーのイメージ
食品トレーのイメージ

真空成形に使われる材料

真空成形には、熱可塑性樹脂(加熱により柔らかくなるプラスチック)が使用されます。以下は代表的な材料です。

PS (ポリスチレン)

  • 低コストで成形が簡単
  • 食品パッケージ、包装材

PP (ポリプロピレン)

  • 耐熱性、耐薬品性が高い
  • 医療機器、食品容器

PET (ポリエチレンテレフタレート)

  • 透明性が高く、リサイクル可能
  • 飲料容器、パッケージ

真空成形に適したバイオマスプラスチックシート

さて、ここまで真空成形について解説してきましたが、これからの時代、持続可能な素材を選択することも、重要なポイントとなります。

大型の自動車向け部品や、家電製品の筐体などに使われる部品は別として、食品トレーなど多くの成形品は、すぐに捨てられる事が多いです。 例えば、ハムを使い終わったら、ハムのトレーは捨てます。お土産品の個包装に使われているトレーも、食べたら捨てることになります。

このように、すぐに捨てる事を前提とした成形品は、持続可能な素材に切り替える事を推奨します。 VASUジャパンでは、とうもろこし由来のデンプンや、シェルパウダー(牡蠣殻)をコンパウンドした、バイオマスプラスチックシートをご提供しています。 石油由来プラスチックと同じ成形設備でお使いいただけるので、新たな設備投資は不要です。

これまでに、お菓子のトレー、部品トレー、お弁当デリバリーボックス、飲料カップ、フルーツトレー、ボトル贈答用トレー、ノベルティなど、さまざまなアイテムの成形実績があります。

VASUジャパンでは、小ロット25 kgから、試作用のサンプルをご提供しています。ご希望の方はお申し込みフォームから、お気軽にお問い合わせください。

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バイオプラスチックのイメージ