この記事は2026年4月15日にメールマガジンVol. 37として配信されたものです。
スーパーで購入するお弁当や総菜の容器、卵パック、お菓子のトレー。
実はこれらの多くは真空成形という加工方法で製造されています。
真空成形は大量生産に優れた成形方法ですが、その一方で使用される容器の多くは使い捨てであり、環境負荷が課題となっています。
そこで近年注目されているのが真空成形用バイオマスプラスチックです。
本記事では、真空成形の仕組みから、バイオマスプラスチックが注目される理由まで、わかりやすく解説します。
コンテンツ
真空成形とは?
真空成形(Vacuum Forming)は、プラスチックシートを加熱し、柔らかくなった状態で金型に密着させて成形する加工方法です。
- プラスチックシートを加熱
- 金型の形に押し当てて密着
- 空気を吸い出して“真空状態”にする
- シートが金型に沿って変形
- 冷却して成形完了
このように非常にシンプルなプロセスであり、一度の成形で多数をまとめて成形(共取り)できるため、大量生産に極めて向いていることが特徴です。 また、プラスチックシートのコストが低く、スピードも速く、金型の寿命も長いため、食品から化粧品、産業部品まで幅広い業界で使われています。

真空成形で作られている製品
実は、私たちの日常生活には真空成形つくられたものがあふれています。代表的な製品は、以下のような“薄い容器”です。
- お弁当
- 総菜のトレー
- お菓子の仕切りトレー
- 化粧品の内装トレー
- 卵のパック
- 工業部品輸送用トレー
- 医療用トレー(滅菌パックの保持部材など)
パッケージの軽量化が進む現代では、真空成形容器はなくてはならない存在です。つまり、「真空成形 = 大量に消費される容器」であり、この分野が環境対応を進めることは非常に大きなCO2削減のインパクトを持つことになります。
ご参考までに、パッケージの軽量化は様々な経済的メリットをもたらします。軽量にすることでプラスチックシートの使用量が減りますので、原材料コスト削減につながります。また輸送時も軽い方がそれだけ効率よく運搬することができますので、輸送コストの削減にもつながります。
バイオマスプラスチックとは?
バイオマスプラスチックとは、次のような再生可能な資源(バイオマス)を原料に含むプラスチックの総称です。以下は再生可能な資源の例です。
- コーンスターチなどのデンプン
- 米(破砕米、規格外米など)
- ジャガイモ・タピオカなどの澱粉作物
- 木粉
- 牡蠣殻・卵殻などの無機バイオ素材
バイオマス原料は再生可能であるため、燃焼しても「成長過程で吸収したCO2」と相殺される、いわゆるカーボンニュートラルの効果があります。
つまり、石油完全ゼロではなくても、“石油依存を下げ、CO2排出量を削減する素材” として世界的に導入が進んでいます。また、完全にバイオ由来のものから、「一部をバイオに置き換えたもの(バイオマス度20〜70%)」など幅広いバリエーションが存在します。
バイオマスプラスチックについては、当メールマガジンのアーカイブで詳しく解説していますので、併せてそちらもご覧ください。

真空成形用バイオマスプラスチックが注目される理由
真空成形では伝統的に、以下のような石油由来プラスチックが使われてきました。
- PP(ポリプロピレン)
- PET(ポリエチレンテレフタレート)
- PS(ポリスチレン)
これらは加工性がよく、非常に安価です。しかし同時に以下のデメリットが挙げられます。
- 石油に依存している
- 焼却時のCO2排出が避けられない
- 使い捨て用途が多い
これらの課題を解決するために登場したのが、真空成形が可能なバイオマスプラスチックのシートです。最近では、食品トレーやお菓子パッケージの一部で、すでにバイオマスシートが使われ始めています。特に、以下のような用途に最適です。
- 軽量で大量生産向き
- 消費量が非常に大きい
- 用途的にリサイクルが難しいものが多い
リサイクルだけでは解決できない容器包装の課題
日本では、PETボトル・アルミ缶・ガラス瓶などのように、確立されたリサイクルがある一方で、食品トレーや薄い仕切り容器などは、次の理由からリサイクルが難しいケースが多いのが実情です。
- 食品残渣が付着しやすい
- 多層構造で選別が困難
- 薄く軽量で効率が悪い
- 種類が多く分別が複雑
このような「どうしてもリサイクル前提にしづらい容器」こそ、バイオマス化によるCO2削減の恩恵が大きい分野です。
バイオマス原料を使うことで、
- 石油使用量の削減
- 焼却時のCO2削減
- 再生可能資源の利用拡大
- 企業の環境配慮型パッケージへの転換
これらのことを実現することができます。
重要なのは、「すべてをリサイクルへ」「すべてをバイオへ」ではなく、用途に応じて最適解を選び分けること」 です。「再利用・リサイクルで循環できる容器はリサイクルへ」、「リサイクルが難しい使い捨て用途はバイオマスへ」。
このバランスこそが、企業の環境戦略として現実的であり、かつカーボンニュートラル社会に向けた最も効果的なアプローチだといえます。

まとめ:真空成形 × バイオマスは、日常のパッケージを変えていく力がある
真空成形は、私たちが日々使う容器の“入口”です。その入口がバイオマスへシフトすれば、環境へのメリットは計り知れません。
- 多くの人が毎日使う
- 排出量が大きい
- リサイクル困難な用途が多い
この領域でのバイオマス化は、小さな改善ではなく大きな変化です。今後、真空成形用バイオマスプラスチックの普及が進むことで、店頭や家庭のゴミ箱の中で、その変化を目にする日が確実に増えていくでしょう。
企業の環境対策としても、ブランド価値向上としても、今まさに検討すべき領域だといえます。VASUジャパンでは、真空成形に最適なバイオマスプラスチックシートのご提案をしております。少量からサンプルをご提供していますので、SDGsやGXの観点から将来的に活用されたい企業のご担当者様、コンタクトフォームからどうぞお気軽にお問い合わせください。成形品のサンプルもご提供しています。